
[後半] 新商品トリプルガーゼ「siesta(シエスタ)」を製造した藤高タオルさんにお話を伺ってきました
聞けば聞くほど、藤高タオルさんはすごかった
――あらためてですが、藤高タオルさんの特徴をお伺いさせてください。
「そうですね。うちはやっぱり糸の染色から織りまで一貫でできるので、開発がすごくしやすい土壌が揃っていて、そこが生命線というか。新しいものやお客様が求めるものを実現するためにはどういうことができるか、と常に考えてきた会社なんだと思います。そのための開発環境が揃っていて、門戸が開かれてるっていうのが特徴でしょうか」
(藤高タオル本社 愛媛県今治市別宮町3丁目5-16)
――無知ですみません。糸の染色の話が出ましたが、糸のロットってどういったものなのでしょうか。
「すごく多いです(笑)。オリジナルの糸を作ろうと思ったら何梱(なんこうり)くらいだろう……、聞いたことがない単位だと思うんですけど、1梱(こうり)が約181.436kgなので、3梱からいけるものもあるかな、でも『10梱で』ということもあります。なので、糸から開発するとなると結構ハードルが高いです」
――その糸は国産ですか?
「国内紡績もありますが、その場合も綿は海外で収穫されたものです。日本の綿は観賞用がほとんどです。福島オーガニックとか一部オーガニックをされているところはあるんですけど。
糸は、綿花から選定して、それを撚り合わせて糸になっていくんですけど、その糸の撚り回数や糸の番手(太さ)によって、全く異なる商品になります」
――銀座のお店にあるタオルはほとんどオリジナルの糸ですよね?
「そうですね。例えば、『月』は140番単糸の3本撚りなんですけど、紳士のメンズシャツを作るような細番手のものなんです。一般的なタオルだど、20(ニマル)と言って、20番単糸を使うことが多いので全然違うのがわかると思います」
(世界鶴 『月』 バスタオル(68×130cm )¥24,200/フェイスタオル (34×80cm)¥8,800)
(藤高タオル 銀座:東京都中央区銀座7丁目12-1藤高ビル1F 営業時間 11:30-19:00)
――へえ! シエスタのトリプルガーゼも細番手で60番双糸を使用していると聞いています。いろいろな番手を使い分けているのですね。染色の面でも2万色以上の染分けが可能と聞き驚きました。
「選択肢が多い中で糸色を選ぶのには困惑されたりお時間がかかったりすることもあるのですが、渡邉さんがすごく感覚が優れていらっしゃるので、3色の糸選びは比較的スムーズでした」
(実際の糸選びの様子。イメージを膨らませながら3色の糸を渡邉良重がセレクトした)
――そうだったんですね。
「三重ガーゼってすごく難しいんですよ。2枚目に重なっている糸色が表に影響してくるので、重なり順とかで発色が全く違くなるんです。でも、それを想像してくださって、やっぱり違うな〜と思いました」
佐藤可士和さんとの今治再生プロジェクト。立役者はお父さん
――ちなみに、今治タオルになるための条件というのはどういうものなのでしょうか。
「今治のタオル組合が設けている基準があり、その検査に申請して合格したら認定がもらえて、マークがつけられます」
――藤高タオルさんのHPを拝見したんですが、今治の発展にすごく貢献されてて。藤高さんのお父様のことを少し訊いてもいいですか?
「はい。藤高タオルは父が5代目なんですけど、父が組合の理事長をしている時に発起人となって、『今治をブランディンするんだ』と言っていて。でも当初は反対も多かったみたいです。それまでも今治は造船とタオルの街で発展してきたんですけど、誰も今治でタオルを作ってるなんて知らなかったんですよね。百貨店さんのブランドものの質の良いタオルは今治で作られていることが多かったんです。
そんな中で今治をブランディングするとなった時に、『誰が今治産のタオルなんて買うんや』とか『なんのブランドも付いてないのに』とか『もともと、出回ってるタオルも今治で作ってるものなのに、今治っていうだけでは買わない』と内外から反対があったんですけど、それを佐藤可士和さんがまとめてくださって」
――すごい話ですね。
「結果として、組合のみなさんの力で成功したんですけど、佐藤可士和さんは大変だったと聞いています。組合の人たちって社長さんの塊なので、それをまとめ上げて、一つのシンボルを作ったということは並大抵のことじゃなかったんだろうなって思います」
――発起人のお父様の苦労も容易に想像できます。今治タオルのブランディングが成功して、一時期からタオルといえば今治、とすごく有名になりましたよね。発起人のお父様はどういうお考えを一番大事にしているんでしょうか。
「どうなんでしょうか……。『今治全体でロケットで成層圏まで行こう!そして、そこを突き破ったら、各社それぞれが色を出していろんなところに着地すればいい』ということは言ってましたね。今治の認知を広げるのは、今治全体で一緒にやって、そこから先はそれぞれの企業が目指すところに行けばと。
あと、タオルを通して人の人生を豊かにするというのはうちの会社のミッションなので、父の根底にもタオルで何かできると信じる心があるのだと思います」
――「みんなで成層圏を突き破ろう!」というフレーズにお父様の気概を感じられます! 貴重なお話をありがとうございました。
(藤高タオル取締役 藤高小夜子さん)
今回D-BROSから新発売になるsiestaシリーズは、今治タオルのマークは付いていませんが、藤高タオルさんのこれまでの歴史と経験を汲んだ今治品質のトリプルガーゼです。
ガーゼ生地は、空気がふんわりと入るので、夏は通気性がよく、冬は保温性があるとても優秀なタオルとも言えます。渡邉良重のデザインと一緒に、このやわらかな風合いをぜひお楽しみください。
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